腰痛のセルフケア

腰痛の種類

ひと口に腰痛といってもその症状は様々ですが、代表的な腰痛には

・椎間板ヘルニア
・脊椎すべり症や分離症
・腰部脊柱管狭窄症
・ぎっくり腰
・筋肉の疲労によるもの
・内臓疾患から来る痛み

などがあります。

腰痛の陰に重大な病気が隠れていることもありますから、“単なる腰痛”と放っておかずに、普段と違うなと感じたら一度専門医に診察してもらいましょう。
ここでは検査でも特に異常が見当たらない、慢性腰痛について取り上げています。

慢性腰痛のメカニズム

慢性腰痛の原因には次のようなものがあります。

・姿勢が悪い
・肥満(腰椎の過度な前湾)
・ストレス
・運動不足
・筋肉の酷使 など…

上記のような要因を長く抱えると腰部の筋肉は緊張状態になり、筋が疲労して血行が悪くなります。
このような時に起こる腰痛は、酸素不足に苦しむ筋肉の悲鳴と言えるかもしれません。

悪循環(痛み⇒筋の緊張⇒さらに痛み)に陥らないうちに、早めの対処が肝心です。

慢性腰痛のケア

姿勢の改善
姿勢と腰(椎間板)にかかる負担を比較してみましょう。

 ・仰向けで寝る25
 ・横向きで寝る75
 ・直立100
 ・椅子に座る140
 ・軽く前傾150
 ・椅子に座って前傾186

座ったり上体を軽く前傾させるだけでも、腰にかかる負担は増大します。
事務の仕事や車の運転などで長時間座ることが多い方は、注意が必要です。
荷物を持つ時の姿勢は特に大切です。例えば50kgの物を持ち上げる時、腰への負担は・・・

 前傾角度第5腰椎椎間板の負荷
 30°350Kg
 60°650kg
 90°700kg

となります。700kgなんて軽自動車なみの重さですね。

仕事でいつも重い物を持つ方はしっかり股関節を曲げ、腰を落として荷物を持ち上げるように心がけましょう。

その時は時間の無駄のように思えても、長い目でみれば決して損ではないはずです。
正しい姿勢については肩こりのコーナーでも取り上げていますので、そちらも参考にしてください。

温める

注意:ぎっくり腰など急性の症状の場合、温めてはいけません。
その場合はアイシング(冷却)が必要です。

ドライヤーを使う

ドライヤーで腰部を簡単に温めることができます。
①皮膚から20~30センチ離し、温風を当てる。
②熱くなったらドライヤーを離す。これを3~5分ほど繰り返し、腰からおしりの上部までを温める。
③さらに、服を着た上からもドライヤーを当てて温めると効果的です。

蒸しタオルで

電子レンジなどを利用して蒸しタオルを用意します。やけどには十分注意してください。
①うつ伏せになり、腰の上部からおしりの上部を覆うように乾いたタオルを当てておく。
②やけどしない程度に冷ました蒸しタオルを2、3枚それぞれ二つ折りか三つ折りにして重ね、乾いたタオルの上から当てがう。
③その上からビニールをすっぽりかぶせると、蒸しタオルの温度が下がるのを防ぐことができます。
④タオルが冷えたら蒸しタオルを作り直してください。
合計20分程温めると血行が良くなり、一般に症状も和らぎます。

しっかり入浴

肩こりコーナーでも取り上げた点ですが、毎日入浴することで筋肉の血行を促進させて緊張を和らげます。
また、入浴はストレス解消の効果的な手段です。ストレス社会を生き抜くためにも上手に活用したいですね。
【例:半身浴】
みぞおちの辺りまでぬるめ(38~40℃)のお湯を張り、15~20分程度ゆっくり浸かります。
湯上がりに45℃くらいの少し熱めのシャワーを背中から腰に当てると、さらに血流が良くなります。
※寒い時期の湯冷めにはご注意ください。

ストレッチ

両膝倒し
①仰向けに寝て両膝を立てます。
両膝を揃えて一緒に横へ倒していき、“気持ちがいい”と感じる側を探します。
②そちら側へ気持ちよく膝を倒せる限界まで倒して、維持します。
(座布団を体の横に置いて、座布団を押しても〇)
③4、5カウントして、一気にストンッと脱力。
④一旦戻し、数回繰り返します。
腰やおしりは自然に浮きますが、肩が浮かないように注意してください。

膝かかえ体操
①仰向けに寝て両手で両足(膝下)を抱える。
②できるだけ股を大きく開き、両膝を両肩に向けて引きつける。
③リズミカルに数十回(20~30回)繰り返す。